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44th single「LiAR/真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」【ポルノグラフィティ全作レビュー#49】


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はじめに

こんばんバス!

リリース日を過ぎてしまいましたが、記事をアップすることに意味がある!
と、自分に言い聞かせて更新します。

「LiAR/真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」作品情報

Title: LiAR/真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ
Release date: 2016/11/9

Tracks:
1. LiAR
 作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一 編曲:tasuku, ポルノグラフィティ 
2. 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ
 作詞:岡野昭仁 作曲:岡野昭仁 編曲:江口亮, ポルノグラフィティ  
3. Part time love affair
 作曲:新藤晴一 編曲:新藤晴一 編曲:トオミ ヨウ, ポルノグラフィティ

オリコン週間ランキング初登場: 6位(最高位)
累計売上枚数:2.7万枚

作品概要

「THE DAY」から約5ヶ月ぶりのリリース。
「LiAR」は日本テレビ系『スッキリ!!』の2016年11月度テーマソング。どこら辺がスッキリしているかはわからない。
「真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」はフジテレビ系『魁!ミュージック』のマンスリーアーティストとして使用された。
セールスに貢献しなさそうな地味なタイアップがついた両A面シングル。 2005年の両A面シングル(『ネオメロドラマティック/ROLL』『ジョバイロ/DON'T CALL ME CRAZY』)リリースの際にはダブルフェイスシングルという呼称を用いていたが、11年ぶりにリリースされる今回は特にそのような呼び方は使われていない。

全曲レビュー

「LiAR」

www.youtube.com

この曲はもっと評価されていいと思う。

2015年リリースの「オー!リバル」はポルノの音楽を語る上での一つのターニングポイントでした。
"ポルノ=ラテン"というイメージが世の中にはあるらしく(私個人としてはそこまでそのイメージはないですが)、でもそのイメージはプロデューサーだった本間さんが作ったものだったんですよ。
サウダージ」とか「アゲハ蝶」、「ジョバイロ」ですよね。
そこにメンバー自身が向き合って、自分たちだけで初めて作り上げたラテン調の曲が「オー!リバル」だったわけです。作曲は昭仁、作詞は晴一でした。
名探偵コナン 業火の向日葵」の主題歌になったこともあり、ポルノファン以外にも知られる曲となりました。
メンバーの作る楽曲の質の向上を感じた瞬間でした。

それから1年半経った2016年11月にリリースされたのがこの「LiAR」です。
作詞・作曲は新藤晴一です。
個人的には「オー!リバル」を超えてきたなと思ったんですよ。
キャッチーなサビ、そしてキャッチーなギターのイントロ、そして炸裂する昭仁のハイトーンボイスと滑舌の良さ。
これぞポルノグラフィティじゃないかと。

こういう曲を聴きたくてポルノのファンやってたんだよと改めて思いました。

曲だけじゃなく、歌詞もまたいい。

あなたの口から嘘が零れるたび
僕はそれを舌で綺麗に拭った
シルクを爪先で裂いたような
密やかな声は本当?

どうやったらそんな歌詞を思いつくんですか?   33年間生きてきて、シルクを爪先で裂いたことなんて一度もないんですけども?

Du Ra Pa Pa Pa Bailar まぶたを閉じて
Du Ra Pa Pa Pa Bailar ここは楽園の入り口

このBメロとかいいですよね。
こんな自然に「Du Ra Pa Pa Pa Bailar」できる人がいるでしょうか。(いや、いない)

人は心にダンジョンを持ってて いくつもの部屋に感情を隠してる
僕が見つけた鍵じゃどれも
合わないままに泣いた

「ダンジョン」と「感情」で韻を踏みつつ、「僕が見つけた鍵じゃどれも合わないままに泣いた」というのがポルノらしいなと思いますね。
彼らが持ってる鍵やら地図やら、旅の役に立ちそうなもんは大体役に立たないですからね。

そして一番気になるのがCメロのこのフレーズ。

吐く息を凍らせ マッチ棒灯したら

この「マッチ棒」っていうのが、結構ひっかかてて。
音数だけでいうと「マッチを灯したら」でも全然いいし、意味も通じると思うし、なんならこっちの方が歌いやすいし聞き取りやすいと思うんですよ。
でもそこをあえて「マッチ棒」にして、「棒」をつけたのは何かこだわりがあるのでしょうかね。

この曲のリリース時に森雪之丞さんとインターネットラジオで対談していて、「LiAR」の歌詞を音読されて照れている晴一が微笑ましかったのでぜひ聴いてください。

www.110107.com

「真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」

www.youtube.com

「真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」というタイトルがとても斬新でしたね。

この曲はカラオケで歌うとまさに真っ白な灰になるんじゃないかというくらい命懸けで臨まなきゃいけない曲なんですよ。
「THE DAY」といい「LiAR」といい、2016年のシングル曲はマジで難しいです。息が続かないし、キーも高い。

ライブの時は流石に1番と2番の間奏を伸ばしてましたね。
そりゃ流石にそうですよ。

こちらは作詞・作曲が昭仁ということで、自分でこんな苦しい歌を作るなんてドS以外の何者でもないです。
これをリリースした2年後に「ブレスのできない歌は誰も歌えやしない」と言ってるんだからどの口が言っとんねん!と思いましたよね(笑
「ブレス」の作詞は晴一ですけども。

それではここからはこの曲の好きな歌詞をひたすら列挙していきます。

警鐘が鳴り止まない街で 呑気で純情な旅人

ポルノの曲に登場しがちな「旅人」が出てきて、旅人好きだなぁと思いました。

三秒後の世界なんてわかるはずもない 予言者じゃない

これは昔の記事でも書いたんですけど、「三秒後の世界なんてわかるはずもない」はわかりますよ。それはそうなんです。
ただその後の「予言者じゃない」は説明しすぎじゃないかと。
三秒後の世界がわからないことを誰もそこまで責めてないんじゃない?という気がするんですよね。

そしてCメロ

開かない扉の鍵を持ったその旅人

いやこっちの鍵も使いもんにならんのかい!!と。
まさかの「LiAR」に引き続き、こちらの曲でも鍵が登場した上に扉開きませんでしたね。
シングルの両A面でこんな同じような表現が出てくるのは珍しいですね。

そしてやはりサビの歌詞です。1行目のフレーズ。

曲頭のサビ

Hey Brother 気づいてるのかい?

1番サビ

Hey Brother 頭の中巡る失敗と成功のシミュレーション

2番サビ

Hey Sister 光と闇はいつも隣り合わせにあって

ラストサビ

Hey Sister 生まれ落ちたこの天命を導くもの

と、ここまででBrotherとSisterにそれぞれ2回ずつ呼びかけてるんですけれども、この後どうするのかなと思ったら……

Brother, Sister 気づいてるのかい?

なんと、BrotherとSisterの両方の呼びかけてるんですよ!
そうすることによってBrotherとSisterに呼びかけた回数が同じになってるんです!
すごいですね。そこでちゃんと回数合わせに行く律儀さが、昭仁らしい。

ぜひそこらへんにも注目して聞いてみてください。

「Part time love affair」

これはなかなかの問題作というか。
かなり異質な作品ですよね。

「Part time love affair」ということで、"Part time"は普通に訳すとバイトとかパートの仕事、もしくは非常勤的な意味なのですが、ここはどう訳したらいいのかむずいですね。
"love affair"は「恋愛・情事」的な意味ですよね。
なんというか、ひと時の恋愛とか不倫とかそういう意味なですかね。

この曲に関しては、歌詞のみに注目して話をしたいと思います。

泡のようにはじけてく「Why?」

という歌詞から始まるこの曲ですが、まさに「Why?」を連発してしまうしまう内容になってるんですよね。

車を降りて手を振ったすぐ後に あいつに電話をかけちゃやだよ

これは浮気をしてる男のしてんですよね。「あいつ」というのは浮気相手の女性の彼氏でしょう。
ここまではわかります。二人の時間を過ごしたすぐ後に本命の彼に電話する姿を見るのは嫌でしょうね。現実に引き戻されるというか。

今夜の出来事まで ありのままに残らず話してしまうの?

Why?   今夜の出来事までありのままに残らず話してしまわないでしょう。
だって浮気してるんですよ。そのことをうっかり話すわけないじゃないですか。
もしかしたらうっかり話してしまったりしたらどうしようという不安な気持ちかもしれないですけれども。

そして2番のBメロ

ワインの話題にはいいんじゃない? 間抜けな僕のまなざしを
真似てはクスクス笑えばいい テーブルの向こうのあいつと

「Why?」。
「間抜けな僕のまなざしを」のあたりはわかります。どう頑張っても本当の恋人になれない自分を蔑んですんでしょう。
でもそれを真似てテーブルの向こうのあいつとクスクス笑います?
あいつって本命彼氏ですよね。
そんなあり得ないことを考えてしまうほど、精神的に追い詰められてるというか、出口の見えない関係に行き詰まりを感じているのでしょうか。

フロントガラスに書き足した「Why?」

いや、それこそWhy?
雨が降ってて曇ってるフロントガラスに「Why?」って書いたんですよね?
その場面を実際に想像したらめちゃくちゃシュールです。

荒れる波のよう 増えていくW

さて、ここからついにWhyでもなくWになりました。
これはポルノグラフィティのことをポと呼んでいるのと同じようなもんです。

そしてラストサビ

声にできず消えていく「Why?」

ここはまぁ普通にわかります。
が……。

降りしきる雨 ここはWの海底

Wの海底、という新しい概念が出てきました。

君はそうかWのマーメイド

いやいや、え?
「君はそうか」ってなんかやっと気づいたみたいな雰囲気出してますけど、Wのマーメイドってなんですか。
何一人で「そうか」とか言って納得してるんですかこの人は。

そしてこの気づきを得たところで、曲は終わっていきます。

息もできず沈んでく 「Why?」

彼女はマーメイドだから海底でも楽しく暮らせたけど、自分は人間だから海底に引きづり込まれたら最後、沈んでいくしかできないんですかね。

ただひと言聞かせて Make me dream again

聞きたい言葉はなんだったんでしょうか。

この二人がどれくらい関係を続けているのか、この関係が今からどうなりそうなのか、具体的なことはよくわかりませんが、主人公は出口の見えない関係にある種の絶望のようなものを感じているように思えます。
絶望というか、虚無感というか。先がない感じがするんですかね。

両A面シングルのカップリングに、なかなか個性的な作品をぶっ込んできたなと思いました。
これがライブで披露されたのも結構意外でした。

きっと解釈の余地はたくさんあるでしょうし、WのマーメイドとかWの海底とか、深堀りした方がいいのかもしれませんが、それは私の仕事ではないような気がするので、今日は今までずっと胸に秘めてきたツッコミを入れたところで終わりとします。

おわりに

結構最近のシングルだと思ってたらもう6年前ですよ。
このシングルは売上枚数的には前の2作(「THE DAY」「オー!リバル」)を1万枚以上下回っていますが、シングルのクオリティとしては非常に高いと思います。
A面の2曲も聞き応えがあるし、ポルノらしさ的なものに向き合って、"身を切って"作った感じがします。カップリングも非常に興味深い。

個人的にはお気に入りのシングルです。ジャッケットも真っ赤でかっこいいし。

"続・ポルノグラフィティ"で「LiAR」がセットリストに入っていたのにはとても驚きましたが、とても嬉しかったです。

次は「真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」、待ってます!

ということで、また次回!



このシングルといえば、このツアーしかないでしょう。