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16th single「黄昏ロマンス」【ポルノグラフィティ全作レビュー#50】


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はじめに

こんばんバス!

秋ですね。秋になると陽が落ちるのが早いですね。
気づいたら黄昏時になっています。そう、人生のように。

「黄昏ロマンス」作品情報

Title: 黄昏ロマンス
Release date: 2004/11/10

Tracks:
1. 黄昏ロマンス
 作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一 編曲:ak.homma, ポルノグラフィティ 
2. Sheep ~song of teenage love soldier~
 作詞:岡野昭仁 作曲:岡野昭仁 編曲:ak.homma ポルノグラフィティ  
3. 小説のように
 作曲:岡野昭仁 編曲:ak.homma 編曲:ak.homma, ポルノグラフィティ

オリコン週間ランキング初登場: 3位(最高位)
累計売上枚数:13.1万枚

作品概要

2人体制になってから2枚目のシングル。「シスター」からわずか2ヶ月という短いスパンでのリリースでした。
「黄昏ロマンス」はシングル表題曲としては初めての新藤晴一作詞・作曲の作品。
日本テレビ系ドラマ「一番大切な人は誰ですか?」の主題歌でした。
同じアミューズ岸谷五朗さんが主演を務めていました。

全曲レビュー

「黄昏ロマンス」

www.youtube.com

リリース当時、この曲はとても大切な曲だということをライブなどでよく言っていましたね。
2004年の紅白歌合戦でも披露していました。てっきり「シスター」を披露するもんだと思っていたのでびっくりしました。

デビュー5周年という節目、メンバーが3人から2人になるという節目、そして2人とも30歳になるという節目、そんな大きな節目が重なったこの年。
間違いなくポルノグラフィティが次のステージへ進んだ年だったと思います。
後のベストアルバム「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"」では、「ラック」までのEPISODE Iとしていましたが、まさにメジャーデビュー後の最初の章が終わり、次のEPISODE II が始まった年でした。

そういう節目を迎えて、30代という新たな世代に突入して、ギラギラしてるだけじゃなく、少し落ち着いて地に足ついて前に進んでいこうというような気持ちが込められているのかなと思います。
「黄昏」という言葉は日が落ちて、人の顔の見分けがつかなくなるくらいの時間帯。
昼から夜へと変わる節目の時間帯なわけで、それがこの時のポルノグラフィティを表していると晴一は思ったのかもしれません。

「黄昏」とはいうものの、曲の雰囲気はどちらかというと温かで、ブラスセクションが加わっていることで非常に前向きな印象があります。

歌詞には、「君」とこれからずっと寄り添って生きていこうと決意した主人公の気持ちが綴られており、ここでいう「君」は本当に大切な君なのかもしれないし、5年間応援してくれたファンのことかもしれません。

この曲の歌詞は晴一の歌詞の中でも比較わかりやすものだと思っているのですが、1番のAメロだけはリリースから18年経った今でもいまいちわからないというか、解釈が定まらないんですよね。

君の前ではなぜこうも ただの男になるんだろうね
優しいウソも繕えず 言葉になる

君の前ではなぜこうもただの男になるんですかね?

これが10代の恋とかなら、好きな人を目の前にしてカッコつけて自分をよく見せることがうまくできない、みたいな意味にも取れるのですが、この2人はそこそこの長い時間を重ねているような気がするんですよ。
きっと25とかから付き合い始めて、もう30になるみたいな、それくらいの時間を重ねているのではないかと思います。
そう考えると、割と長い時間を過ごしてきてしまって、今更自分を取り繕う必要もなく、素の自分で接してしまうということなのかなとも思います。

「優しいウソも繕えず」というのは、まぁ相手を傷つけるようなことというよりは、他愛もない会話の中で相手の発言にとりあえず同調しとけばいいようなところで、割とマジレスしてしまうとかその程度のことなのかなと思っています。
「これ似合うかな?」みたいなことを聞かれたら無条件で「似合うよ」が正解なのに、「うーん、そこまでじゃないかな」って言っちゃうとか。

足りないなら問いつめてよ いらないなら捨ててよ もとから見当違いなら承知さ

ここなんですよね。よくわからないの。

「足りないなら問いつめてよ」っていうのは、不満なところがあるなら言ってくれってことなんでしょうけど。
「いらないなら捨ててよ」ってのは、どういうことなんでしょう。

この後の歌詞から考えると、2人の関係をこれからも続けていこうと思っているようですし、なんなら結婚も考えてるのかなぁという気もするのですが、ここだけなぜかネガティブな発言をしてるんですよね。
「もとから見当違いなら承知さ」といってますが、これは自分には不釣り合いなくらい素敵な相手とかそういうことなのかもしれません。
だからいつ捨てられてもおかしくはないんだけどね、という自虐がこもっているのかもしれませんね。

それ以降の歌詞は、まぁ読めばその通りですよね。

僕らには始まりや始まってないものばかりさ ねぇ気づいてる?

この歌詞がとても好きですね。
まだまだ2人でやりたいこと、やるべきことがたくさんあるってことですよね。
「始まりや始まってないもの」という言い方が、なんだか素敵だなと思いますね。
これから2人で前に進んでいくんだということがわかる表現です。

きっとポルノファンの方は結婚式の披露宴とかでこの曲を使ったりするんでしょうね。

最後に豆知識ですが、2番サビ終わりの感想で流れてるコーラスは、昭仁が歌ったコーラスを何重にも重ねたものらしいです。

あと、豆知識でもなんでもないですが、この曲のMVは当時のサポメンが登場して一緒に演奏している姿が収められています。
NAOTOさん、ポンプさん、ただすけさん、森男さん、nang-chang、この頃のサポメンが大好きでしたね。
"PURPLE'S"の副音声でサポメンとポルノの2人が喋ってるんですけど、その雰囲気がすごく和やかで楽しそうで。
色々な方がポルノのサポメンをされていますし、みなさん素晴らしいミュージシャンですが、僕にとってのポルノのサポメンの原点はこの5人ですね。

この5人と楽しそうに演奏する2人の姿をぜひ見てほしい。ラストサビ終わりの晴一の笑顔がとても素敵。

「Sheep ~song of teenage love soldier~」

この曲はリリース当時15歳だった僕にぶっ刺さりました。
teen age love soldierだったんで(笑

「黄昏ロマンス」では30代という節目を迎えた男の心境を歌っていたのに、カップリングでは10代の初々しい恋模様を歌うというこのギャップが素晴らしいですね。
こういう無邪気にはしゃいじゃう感じの曲はやっぱ昭仁なんですよ。

恋に悩む10代の少年少女全員に聞いてほしい。
歌詞の全てのフレーズ、その1文字1文字に共感すると思います。

これで何度になる? 言えない言葉は「君が好き」というメジャーな響き

そうなんですよ。この言葉はね、舌先離れるまでなんて苦いと言わしめた言葉ですからね。

あいにく二人は話題が豊富で肝心なことに触れられない

なるほど、この二人は既にある程度仲がいいんですね。
例の一言を言えばすぐに交際が始まるのに、その一言が言えなくて始まらない。始まってないものばかりですね。

そんな事言って言い逃れして新しい季節が来る

勇気がないだけなのに、どこかに言わない理由を探してるんですよね。
そしてただただ時間だけが過ぎていくんですよ。

真夜中にしたためたラブレターのように
言えたなら今頃は世界のキングにもなってるさ

ということはラブレターも書いてるのに渡してないんですよね。
臆病すぎる。きっと真夜中のテンションで書いては見たものの、翌朝になったら冷静になって怖気付いてしまって、渡せなかったんでしょう。

「俺も男だ 戦場に行くんだ」
大袈裟に奮い立たせよう

ここでやっとsoldier要素が出てきました。

”Keep on lovin' you"
恋の戦士 今僕はここに立ってる もう二度と引かねえぞ 潔く散ってしまえ
敗北知るのもいいだろう

もう負け戦のつもりでとりあえず行ってしまえと、徐々に気持ちが固まっています。
そう、あわよくば叶うといいなと思ってるんですけど、でも負けを覚悟していかないと本当に負けた時辛いですからね。

固まった決意に後押しされた
僕はもう迷うことはない

もうやるっきゃナイトですね!

"君が好き" 我ながらよく言えたセリフだった
"私も" と笑ってる君を今抱きしめたい

ついに言えたんですね。
"私も"という言葉を聞けた時、どれほど安堵したことか。

2004年ごろのポルノグラフィティといえばやはり中学生高校生のファンが多かったですからね。
きっとこの曲に背中を押された人は多かったと思いますし、そういう世代のファンが多かったからこそ生まれた曲かもしれません。

僕達に戦う勇気をくれてありがとう、ポルノグラフィティ

「小説のように」

この曲は、昭仁の歌詞の中でもかなり好きな方です。

あなたの好きな小説のストーリーと、自分達の恋の行方を重ね合わせてしまう主人公の心情を歌っているのですが、その設定がすごくいい。

あなたの好きな小説の中に
愛を壊してしまう悲しい二人が居たね

このフレーズにすごく昭仁らしさを感じます。「愛を壊してしまう」という言い回しが昭仁っぽいなと。

青空を見上げて二人は別の道を歩んだ
そんな結末に涙してた

なのに自分達もそうなっちゃうのかい?っていう。
そしてこの天気についての描写は最後のサビで効いてきて

嗚呼 今日の空は曇り空 その後は雨が降る
永遠に雨が降り続けばいいのに

雨が止んで晴れ間が射したら、二人の物語は終わってしまいますからね。

あの小説は青空で終わってた

冒頭で言ってました。

間違った結末さ

そう思いたくなるのもわかります。でももうその時は近づいているんですよ。

悲しい物語ですね。

2曲目で新しい恋が始まったと思ったら、3曲目では終わってしまうという、ここもまたギャップがすごいです。

「小説のように」はライブであまりやってない気がするので、ぜひ今の昭仁の歌唱力で聞きたいです。

おわりに

このシングルは結構聞いたなぁ。
特に「Sheep ~song of teenage love soldier~」を何回も聞いたと思う。
やはりアップテンポな曲が好きなのでね、「黄昏ロマンス」は当時の僕にはそこまで刺さらなかったと思うんですけど、二人が大事な曲と言っているので、僕も大事な曲だと思って、大事に聞いています。
僕も30歳を超えてしまったわけですが、まだこの曲の境地には至ってないなと思います。
これからいやでも自分の人生の黄昏を感じることになるのでしょうけども、その時にはこの「黄昏ロマンス」を聞いて、自分の人生の節目について考えたいですね。

ということで今回はこの辺で。
また次回!!



意外とこのライブでも「Sheep ~song of teenage love soldier~」 を披露していました。