50th single「VS」【ポルノグラフィティ全作レビュー#27】
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はじめに
こんばんバス!
7月が終わってしまいますね。8月がくるとついにニューアルバム「暁」リリースです!
その前に、今日はこのシングルを紹介します!
「VS」作品情報
Title: VS
Release date: 2019/7/31
Tracks:
1. VS
作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一 編曲:近藤隆史, 田中ユウスケ, ポルノグラフィティ
2. プリズム
作詞:岡野昭仁 作曲:岡野昭仁 編曲:近藤隆史, 田中ユウスケ, ポルノグラフィティ
3. 一雫
作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一 編曲:篤志, ポルノグラフィティ
オリコン週間ランキング初登場: 8位(最高位)
累計売上枚数:2.2万枚
作品概要
「VS」は読売テレビ・日本テレビ系アニメ『MIX』のオープニングテーマ。
全曲レビュー
「VS」
20周年の節目にリリースされた楽曲です。
この年は2018年から続くライブサーキット"UNFADED"を3月まで行い、その後は9月に行われる東京ドームでの20周年記念ライブへ向けて準備を進めていたポルノグラフィティ。
節目の年ではありますが、リリースはこのシングルのみ。
シングルを1枚しかリリースしなかったのは、2017年以来2年ぶりでした。
ただ2017年はアルバムもリリースしていましたから、本当にシングル1枚しかリリースしなかったのはデビューした1999年以来20年ぶり2度目でした。
それまでのポルノグラフィティなら、5周年、10周年、15周年と節目の年にはベストアルバムをリリースしていました。
ただ、2013年にリリースした「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"」が割と全部出し尽くした作品でしたし、2018年にはサブスクで全曲解禁していますから、改めてベストアルバムをリリースする必要もないと判断したのかもしれませんね。
2014年から2019年までにリリースしたシングルは10枚、曲としては11曲(配信シングルも含む)でしたから、「RED'S」「BLUE'S」や「ACE」「JOKER」のように2枚に分けてカップリングやアルバム曲も入れれば無理やりベストを作れていたかもしれませんが、そもそもこの間にアルバムは2枚しか出していませんし、そこまで無理やりベストを作る必要もないと思うので、それでよかったのだと思います。
20周年という大きな節目ということもあり、あくまでもこの20年全体を振り返るという意味で、サブスクで全曲配信されたことはファンにとってもとても嬉しいことでした。
サブスクで配信されていると人にもお薦めしやすいですしね。
さて、この曲はというと、アニメ「MIX」のオープニングにもなっており、晴一は原作を一気に読んでイメージを膨らませて楽曲を作成したそうです。
ポルノにしては割と真っ当に主題歌を作ったなという印象を受けました。
内容としては、今の自分と将来を夢見ていた頃の遠い日の自分を重ね合わせるような、幼い頃の自分に思いを馳せるような歌詞になっているのですが、
とにかく
そうか あの日の僕は今日を見ていたのかな
こんなにも晴れわたってる
バーサス 同じ空の下で向かいあおう
あの少年よ こっちも戦ってんだよ
というサビの歌詞が全てだと思います。
音楽を始めた頃の自分、メジャーデビューすることを夢見ていた自分、「あの日の僕」とはそういう夢を追いかけていた頃の自分のことですよね。
いくつか好きな歌詞があるので紹介します。
まずは2番のAメロ
夜ごと君に話した約束たち
今も果たせずにいて
ここは初期の名曲「ダイアリー 00/08/26」を思い出させますね。
晴一は夜ごと君に話すの好きですから。
ダイアリー意外だと「AGAIN」でも話してました。
夜ごと君に話していた 約束は今も果たせず
というのがありまして、ほとんど同じことを言っています(笑
いつになったら果たせるのだろうかと思いますし、「君」も待ちくたびれているんじゃないかと思いますが、果たせないからこそ今もポルノは新しいことに挑戦してくれているのかなぁとも思います。
そして同じ2番Aメロの後半。
邪魔するのは他人のこともあれば
意気地のない自分だったりした
これは「ギフト」の2番Aメロ
どこかで僕を悪く言う声 耳を塞いでやりすごしてた
それでも聞こえる なんだ自分の声じゃないか
とちょっとに似ているなと思いました。
結局自分のことを蔑んだり、自分の成長を止めているのは臆病な自分人身じゃないか?みたいなことを晴一はよく言っている気がします。
晴一の描く主人公は基本的に自尊感情が低いですし、自分の不甲斐なさや身勝手さを笑ったり責めたりされないか気にしていることが多いですよね。
「VS」の主人公も、過去には多少そう言う一面があったのかもしれませんね。
そして2番のサビ
本当 気楽でいいな 無邪気に描いた地図
クレームもつけたくなるが
「クレームもつけたくなるが」は、晴一らしいユーモアの混じった言い回しだなと思います。
そして1番にも登場し、ラストサビの最後にも登場するこのフレーズ。
あの少年よ こっちも戦ってんだよ
過去の自分にここまで直接的に語りかけているのは、結構珍しいことではないかと思います。
「まだ戦ってんだよ」と言うのは、「これからも戦い続けるぜ」と言うファンへのメッセージなんじゃないですかね、きっと。
歌詞としてはかっこいいのですが、 この「まだ戦ってんだよ」の部分のメロディは最初聞いた時すごく違和感がありました。正直に言えば今もあります(笑
晴一らしいと言えばらしいですし、これがポルノらしさでもあるんですけど、時々「そっちに行く?」みたいな方向にメロディが動くことがありますよね。
個人的にはよくこれでサビ終わろうと思ったなと言う感じなんですが、これもまたポルノグラフィティ。
メンバーの個性がしっかり詰まった、節目にふさわしい曲だなと思います。
あと、最後にこれだけは言っておきたいのですが、サビで晴一が弾いているギターのフレーズはめちゃくちゃ好きです。
サビではむしろそちらを口ずさみたいくらいです。
この曲のPVは二人が下北沢を歩いて最終的にライブハウスで演奏するというノーカットの映像になっています。
なぜか昭仁がクレープを買って、直後に小学生に奪われたりしていて面白いです。
メイキング映像もぜひご覧ください。
「プリズム」
これは演奏も歌うのも難しそうな曲です。結構好きです。
曲も歌詞も非常に昭仁らしい。
ひとりよがりの麗しきサニーデイズ
は昭仁にしか出てこないフレーズですよ。
こちらもテーマは「VS」と同じような感じで、これまでの活動を一つの旅と捉えて、これまで歩んできた道を振り返りつつ、これからも旅を続けていくことを宣言するような歌詞になっています。
取り憑かれたような真っ白な恋だった
ここで言う「恋」がきっと「音楽」や「バンド」のことをさしているんだと思います。
因島でバンドを組んで、大阪に出て活動を始めた頃の初期衝動のような物を感じます。
「取り憑かれたような真っ白な恋」と言うのは、迷いのない、真っ直ぐな気持ちでがむしゃらに音楽をやっていたと言うことでしょう。
眩しくて 遥か遠くて 目を逸らしてしまえば 見失いそうで
気付いたら指をさして示してくれたのは君だった
東京に進出するとか、メジャーデビューをするとか、ヒット曲を出すとか、全国ツアーを回るとか、一つ一つの目標は眩しくて手に届きそうにない物だけど、ポルノの音楽を聞いてくれる「君」がいたからここまでこれたぜ的なことだと思います。
このサビめちゃくちゃ気持ちいいですよね。
それまでは少し行き詰まった感じや焦燥感のようなものが感じられるのですが、ここでいきなり開けた感じがするんですよ。
「眩しくて」の「て」の発音が気持ちいい。
めちゃくちゃ疾走感もあるし。
本当にライブでやってほしい1曲です。
そして続く2番。
夢中になれるものに出会えたら
それだけで自分が少しだけ誇らしい
と思えるのが昭仁らしい。
おんなじよう思う誰かがどこかで
笑っているならそれでいい
と思えるのも昭仁らしい。
「どこまで来れたのかな?」ずいぶん長い旅になったから
ここまでの道のりの答え合わせしようと問いかける
の後にくるギターがめちゃくちゃかっこいい。ここも生で聴きたい。
ここまでくると、こっちが表題曲でもよかったのでは?と思い始めます。
ギターソロもめちゃくちゃかっこいいですからね。
ギターソロなくてもいいとか言ってるのはどこの誰だという話ですよ(笑
最後のサビも最高です。
「君だった」の発音がもう完全に昭仁なんですよ。
「君だぁった」なんです。
あと2番サビの「思うんだ」の「ん」もそうですね。
「う」に聞こえるような「ん」です。
多分これは発音記号とか使わないと表現できないと思います。
この曲は東京ドームでやってくれるだろうと思っていたのですが、「一雫」と合わせてどちらも披露されませんでした。
非常に残念です。
いつでもいいし、どんなセトリでもいいので、無理やりねじ込んでもいいので、ライブで披露してください。お願いします。
「一雫」
こちらは晴一が今まで言ってきたことを集約したような楽曲になっているそうです。
一番わかりやすいのは
夢の中にいるには 目を閉じてなきゃ
薄目で周りを見たくもなるが
そのたびに瞑りなおした
冷めた頭じゃここに入れない
ですね。突然晴一がラップを始めるので戸惑いますが。
これはロイヤルストレートフラッシュだか、何かしらのツアーで、最後のMCの時にほぼまんまのことを言っていましたよね。
「目を開けてお金を数え始めたら終わりだからね」と話していました。
そのMCを聞いてとても晴一らしいなと思いました。
この内容をラップで言う必要があるのかはわかりませんが、
「こういう曲はここらへんでラップが来なきゃいけない」と言う晴一の謎の使命感によって、晴一が自らラップを担当したのですから、とても大事なパートだったのでしょう。
昭仁は自分が歌うものだと思って練習していたのに、レコーディングになったら晴一がブースに入っていって驚いたらしいですが、なんでそんな基本的な情報共有ができてないのか不思議でなりませんが、そんなところさえも愛おしいですね。
それ以外の歌詞で好きなのは
宛名さえ書かずに 差し出した手紙みたい
僕らの歌は今 どこに響いているんだろう
ここはとてもロマンチックな表現ですよね。
「宛名さえ書かずに 差し出した手紙みたい」と言う歌い出しのフレーズ、天才的です。
沸きたつ泉のような場所 僕にあったなら
綺麗な水で君のこと潤せるのにね
つまり自分には「湧きたつ泉のような場所」= 才能 がないと言ってるんでしょうが、そういう自尊感情低めなところがまた晴一らしい。
晴一がどう言う類の泉を求めているのかはわかりませんが、僕らはすでに泉で潤うどころか溺れかけそうになっていることをどうにかして伝えてあげたいです。
ギターはその夢を描くペンで
汚れた手で触れてないかと
今問いかけたらギターはどんな顔をするかな?
これもまた「ダイアリー 00/08/26」のあまりにも有名すぎるフレーズですね。
いつまでもギターというペンで夢を描き続けて欲しいものです。
こちらの曲も東京ドームでやってくれるだろうと思っていたら披露されず、結局翌年、2020年の"サイバーロマンスポルノ'20"で初披露となりました。
なので次のライブではぜひプリ……
おわりに
ということで、記念すべき50枚目のシングル「VS」を紹介しました。
このシングルがリリースされた頃はいろいろなイベントが行われていて喫茶ポルノとか、ポルノ展とか、めちゃくちゃ楽しかったです。
夏休みの思い出は全てポルノで埋め尽くされていると言っても過言ではありません。
そして、この夏も「暁」がリリースされるということで、お祭り状態ですね!
毎日公式から発信される情報の渦に飲み込まれそうです。
リリースまであと少し。生き延びましょう。
では、また次回!
「VS」と言えばこのライブ!!