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12th single「メリッサ」【ポルノグラフィティ全作レビュー#41】


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はじめに

こんばんバス!

皆さんの切り裂きたい記憶は何ですか?

「メリッサ」作品情報

Title: メリッサ
Release date: 2003/9/26

Tracks:
1. メリッサ
 作詞:新藤晴一 作曲:ak.homma 
2. 見えない世界
 作詞:岡野昭仁 作曲:岡野昭仁 
3. 月飼い
 作詞:新藤晴一 作曲:Tama 

全編曲:ak.homma, ポルノグラフィティ

オリコン週間ランキング初登場: 2位(最高位)
累計売上枚数:37.1万枚

作品概要

音のない森」からわずか1ヶ月半ぶりという短いスパンでリリースされたシングル。 2003年下半期リリースラッシュの第2弾。
「メリッサ」はTBS系アニメ『鋼の錬金術師』のオープニングテーマ。
枚数的には「アポロ」や「ミュージック・アワー」ほどではないものの、ロングヒットを記録し、オリコンチャートに38週連続チャートインしている。
確かにCDTVのランキングでも「愛が呼ぶほうへ」と一緒に年末年始までしぶとく残っていた印象がある。

全曲レビュー

「メリッサ」

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これもまた3人時代を代表する曲の1つなのでしょうね。
鋼の錬金術師」の主題歌になったことで、一気に注目を集め、鋼の錬金術師きっかけでポルノファンになった人も当時は結構いたなぁと思います。
ファンでない人にも「メリッサ」はハガレンにすごく合ってていい曲だよね!って褒めてもらえた記憶があります。
別に私の曲ではないですけれども、とりあえず「ありがとう」と誇らしげに答えておきました。

この頃のポルノは、結構暗い作品が続いていて、「渦」、「音のない森」という、世間のポルノのイメージからはかなりかけ離れた作品を連続で出していました。この時期は、ファンとして、どうポルノと向き合うか試されていた気がします。少し心が揺らいだりもしました。 
私個人としては、そろそろアッパーでキャッチーな曲を聴きたいなと思っていたので、「メリッサ」のリリースは非常に嬉しかったです。

この曲を聴くためだけにアニメのオープニングだけ見ましたよ。第1話だけ。
それ以降は見てませんけども。

漫画も読んだことがないので作品に合っているのかどうかとかは全くわかりませんが、当時から評判は良かったと思うので、きっとアニメに合っていたんだと思います。

ポルノの作品としても、それまでとは違うタイプの、デジタルロックでもなく、ラテン系でもなく、「Mugen」のようにめちゃくちゃブラスアレンジが前に出てるわけでもなく、それでいてポルノらしいなと思わせる要素のある新しいタイプの曲だったと思います。

サビの追っかけコーラスがキャッチーですよね。
これが結構好きだったのですが、いつからかライブでは追っかけコーラスがなくなってしまったのですよ。
あの追っかけコーラスは、コーラスの素材を間違えて貼り付けたことから生まれた、みたいなことが昔ウィキペディアに載っていたのですが、今見たら消えてました。真偽はわかりません。

www.youtube.com

個人的にはあれは「メリッサ」という曲の個性そのものだとも思うので、是非復活してほしいなと思うのですが。
ただ、先日ミュージック・ステーションで久しぶりに披露した時にはちゃんと流れてましたね。
テレビで披露するときはちゃんと流してくれるんだなと少し安心しました。

また、この曲は何と言ってもベースとギターの両方がピックアップされるというところが激アツなところじゃないでしょうか。

イントロのTamaのベースから始まり、昭仁の突き抜けた歌声が響くサビに移っていくのは非常に気持ちいです。

そして2番サビ終わりも、Tamaのベースソロから晴一のギターソロに移っていくのがかっこいい。
ギターソロはサビメロをアレンジした割とシンプルなソロなのですが、こういうシンプルなメロをかっこよく聴かせてくれるのが晴一のギターソロの真骨頂ですよね。
晴一自身もあまり速弾きなどをする方ではないと前から言ってると思いますが、こういう歌いたくなるようなフレーズをかっこよく弾いてるのが堪らなく好きです。
勢いよくギターソロに入っていて、かっこいいソロをしっかり聴かせてスマートに最後のサビに返すというこの一連の流れ芸術的すぎてで好きです。

ということで、とにかく、ボーカル、ギター、ベース、3人揃ってポルノグラフィティなんだ!ということを見せつけられたような作品でした。

ただ一つ、少し残念なのは、この2003年後半から2005年ごろまでの昭仁は若干喉の調子が悪そうな時期なので、歌声に今のような力強さがないんですよね。少し歌声が細くなっている時期だと思います。
まぁ、それがこの「メリッサ」の持つ"切なさ"みたいなものにつながっているのでそれはそれで良いのかなと思いますが。

なので、先日のMステで披露されたのは非常に嬉しかったですね。
演奏も生でしたし!!

やっぱり、もう19年前の曲ですから、テレビで披露された時にオケが19年前のCD音源だと少し冷めるじゃないですか。
今の晴一はさらにかっこいいギターソロ弾くぜ!と思うし、今のサポメンもあの頃に負けずすごいぜ!!と思いますしね。
音楽番組は全部生演奏でやってほしいと思っていますが、それが難しいのなら、昔の曲ほど生演奏でやってほしいと思います。

話は逸れましたが、「メリッサ」、良い曲です。

「見えない世界」

これはまた昭仁らしいなと。
少ないメロディのパターンで、それをひたすら繰り返す。
好きですよね。こういうの。

「ヴィンテージ」とか「ROLL」のサビとか、あまりメロディが展開していかないのが初期の昭仁曲の特徴かなと思っています。

だからこそハマる時はめっちゃハマるんですよね。
クセのあるメロディを短い時間に何回も叩き込まれるから、めっちゃ耳に残る。
この曲はギターのリフも、まさにリフで、ずっと繰り返されてるので非常に頭には残りやすいですね。

ただ個人的には好きでもないし嫌いでもないというか。
たまに思い出しますし、たまに聴きたくもなりますが、この曲に対する僕の気持ちは至って普通です。

現実は厳しいけど、僕らは夢や理想に向けて進んでいくよ系の歌ですよね。
これ系の楽曲は刺さる時はすごく刺さるんですが、刺さらない時は全く刺さらないんですよね。

なのでこの曲は、シャッフルで流れてきたら飛ばしはしないけど、自分で何かのプレイリストには入れたりしないタイプの曲ですね。

「月飼い」

これは名曲なんですよ。

Tamaが作曲で、晴一が作詞で、二人が作ったキャッチーなメロディと歌詞を昭仁が気持ちよく歌うという、これがポルノグラフィティの完成形じゃないかと思えるような楽曲です。
シングルの1曲目に来ても良かったかもしれない。
セールス的にどうかとかではなく、これが今のポルノグラフィティなんだ!という心意気で出して欲しかったなと。
音のない森」がシングルになったんだから「月飼い」なんて絶対シングルになれるでしょ!?と思いますが。
現実はそう簡単ではないのかもしれません。

サビのメロディが非常に切ない。キャッチーなのに切ないっていうのは反則ですよね。
「切なさ」を感じる時間なんて本来なら1秒でも短いほうがいいと思うんですけど、キャッチーなメロディのせいでその切なさという感情に惹きつけられるんですよね。
この日常生活では味わえない感覚を味わえるのが切なくてキャッチーな楽曲の魅力だと思います。

歌詞について

歌詞も晴一節炸裂ですよ。

1行目から

月を飼うのと真夜中に
水槽を持ち出して窓辺に置いた

いや、そんな女はこの世におらん!!
と思うような人物を自然に登場させるんですよ。

女性でも男性でもいいですけど、僕は勝手に女性だと思っていますが、とにかく恋人が「月を飼うの」って言って水槽持ち出して窓辺に置いたら、「お、おう……」ってなりますよね。

あとどうでもいい話ですが、「水槽"を"持ち出して」って、「を」が入ってることに今まで気づいてませんでした。

いとも簡単に捕獲された
小ぶりな月が水面に浮かぶ

やってることユーチューバーじゃないですか。
動画タイトルは「水槽を使って水面に月を捕獲してみたら衝撃の結果に…!!」しかないです。
登録者数103人くらいのユーチューバーがやってそうです。

月を捕獲してる状況はすごくイメージできるんですけど、これっこう難しくないですか。
月が綺麗にで出るのは前提として、水槽の狭い水面に月が写ってるように見える角度に自分が移動して水面を見ないといけないわけですよね。入射角と反射角ですよね。

実際やってみたらどれくらい上手くいくのか、19年間考えていますが一度もやったことがありません。
なぜなら水槽が家にないからです。
もしお手持ちの水槽でやってみたよ!という方がいたらどれくらい簡単に捕獲できたか教えてください。

サビの

たゆたう思いを載せて

というフレーズがありますが、私はこの歌詞で初めて「たゆたう」という言葉を知りました。
中3の時の国語の選択授業で、自分の好きな言葉をハガキに書くという意識の高い授業があったのですが、僕はそこにドヤ顔で「たゆたう」と書きました。
まさかの用言1個ですよ。せめて体言にしろよとも思いますが、遅れてきた中2病だったのかもしれません。

2番のAメロでは

大事にしてねと月を残し
別れも告げずに君はどこへ

と言ってるので、彼女はどこかへ言ってしまったのですね。

月と僕とがふたりきり
朝日がさしたら ひとりきりで

ここが切ないですね。 僕は最初、もう朝になってしまって月が消えたのかと思っていたのですが、Bメロで

窓の外に水を捨てた 月を空にかえした

とあるので、まだ今は夜中で、「朝がきたら月が消えてひとりきりになっちゃうなぁ(詠嘆)」と思ったよってことだったんですかね。

2番のサビでもまだ

東から漕ぎだした船は
優しい夜風を受けて

とあるのでまだ夜なんでしょうね。

で、気になるのはこの恋人は何でいなくなったんでしょうか。

この歌詞って、具体的なことは何も言ってないんですよね。
誰も何もしてないんですよ。
もしかしたら月を飼ったのは例えではなく本当にやったことかもしれないですけど、舟に乗るのは何かの例えですよね。

彼女が先に舟でどこかに行ってしまった。
取り残された僕は、「その舟にちゃんとん乗れたかい」と思いながら、自分も舟に乗る。

恋人よ 僕も向かおう

目的は恋人に近づくため。

歩くスピードで近づこう

でも決して無理に近づくのではなく、あくまで自分のペースで、自分の生活を送りながら、恋人のいる方向を目指して生きていこう、くらいの意味に聞こえます。

恋人は死んだのではないか?という考察を昔からよく見かけます。
でも個人的には殺さなくてもいいのかなと思っていて、夢を追って遠くに行ったでもいいし、ロミオとジュリエット……は最後に死んでしまうけど、そういう生きる世界が違うとか、身分の違いとか、世の中が、周りの人が許さなかったという恋かもしれないと思うし。

単純に僕が「死」を持ち出すのが好きではないというのもありますけどね。
誰か特定の人の死を悼むみたいな歌詞ならわかるのですが、勝手に作ったキャラクターを勝手に殺して感動させるのは違くない?という気もします。安易にね。

まぁ抽象的な歌詞なので意味は固定できないと思いますし、する必要もないと思います。

僕は歌詞の意味を理解しようとはするのですが、それは「こういうことを行っている可能性があるな」ということを考えているだけであって、「この歌詞はこう意味でこういう主張をしているんだ!」という正解みたいなものを出したいわけじゃありません。

歌詞から読み取れることには幅があって当然だと思うし、ブログで歌詞のについて話す時も、自分がその歌詞についてどれくらいの視野の広さで捉えられているのか、ということを確かめながら言語化しているって感じですね。

また話が脱線しましたが、この歌詞はものすごく具体的な情景がイメージできるのに、内容は非常に抽象的という、晴一らしいフィクションだと思います。こういうのを文学的というのかもしれません。

おわりに

気づけばタイトル曲の「メリッサ」よりも「月飼い」について熱く語ってしまいました。
そういうこともありますよね。

「メリッサ」はあまりにも有名すぎていまさら語ることないですよ。 「月飼い」はカップリングですからね。新しくポルノの音楽を好きになった人が調べた時にこの記事に引っかかって、意味がありそうでたいして無い記事読んでしまったわと思ってもらえたらなと思います。

ということで、次回は先日CDTVでも披露されたあのシングル曲を、たった1曲しかないので気持ち込めてレビューしたいと思います。

お楽しみに。



まだ追っかけコーラスがある頃の「メリッサ」をぜひ。