FACTORiAL!

数学や、好きな音楽についての話をしようと思います。

MENU

25th single「ギフト」【ポルノグラフィティ全作レビュー#31】


スポンサードリンク

はじめに

こんばんバス!

リリース日当日に更新できませんでしたが、遅れてでも更新します!
ということで今回はこのシングル!

「ギフト」作品情報

Title: ギフト
Release date: 2008/8/20

Tracks:
1. ギフト
 作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁 編曲:ak.homma
2. ポストマン
 作詞:新藤晴一 作曲:ak.homma 
3. ダイアリー 08/06/09
 作曲:岡野昭仁 編曲:新藤晴一

全編曲:ak.homma, ポルノグラフィティ

オリコン週間ランキング初登場: 2位(最高位)
累計売上枚数:8.0万枚

作品概要

2008年6月の「痛い立ち位置」リリースから始まったリリースラッシュ的期間の第2弾。
この年はシングルを5枚リリースしており、そのうち4枚は6月以降、2ヶ月おき(偶数月)にリリースされた。
ポルノがシングルを1年に5枚もリリースしたのは2003年の「渦」〜「ラック」以来2度目。
今となっては奇跡的なリリースの多さ。
ちなみに最近では2018年に配信限定シングルも含め4枚をリリースしている。(「カメレオン・レンズ」〜「フラワー」)

表題曲の「ギフト」は、石原さとみ主演の映画「フライング☆ラビッツ」の主題歌。

2008年にリリースされたシングルの中では「今宵、月が見えずとも」が一番売れているが、年末の紅白歌合戦ではなぜか「ギフト」が演奏された。
確かにNHKらしさのある楽曲ではあるけども、個人的には久しぶりに世間にアピールできる曲となった「今宵、月が見えずとも」を披露してほしかった。

全曲レビュー

「ギフト」

www.youtube.com

「ギフト」とは神様から与えられた才能のこと。
最近ではギフテッドという言葉もよく聞きます。

これをリリースした前年、2007年からポルノグラフィティはメンバー2人のみでの楽曲制作を意識的に増やしていたように思う。
アルバム「ポルノグラフィティ」は本間さんの楽曲が1曲しかなく、自作曲の作品に関しては全て2人でベーシックアレンジを手掛けるという気合の入れようだった。
岡野昭仁新藤晴一の2人でポルノグラフィティなんだということを改めて確認するようなアルバムになっていたと思う。
それを踏まえたツアーもあり、2008年は、本間さんの楽曲提供を受けつつも、基本的にはメンバー作曲の作品が増えていった。
シングルでは「あなたがここにいたら」、「Love, too Death, too」は本間さん作曲であるけども、残りの3枚の表題曲はメンバー作曲だった。(この点も実は2003年のリリースラッシュと共通している。)

そんな中の1枚、2008年第3弾シングルとしてリリースされたのが「ギフト」。

初めて聞いた時の印象は、昭仁らしく薄味ではあるけども、噛み締めるほどに良さがわかる、いわゆるスルメ曲だなと思った。

当時は岡野昭仁オールナイトニッポンをやっていて、初披露はこのラジオだった気がする。
その時、昭仁自身も「僕の作る曲はファーストインパクトが弱いことが多いんだけど」みたいなことを言っていて、自覚あるんだなとちょっと面白かった。
今でこそあまり思わないけど、確かに当時の昭仁曲はサビが少し弱いなと感じる曲がまぁまぁあったように思う。(個人的には「リンク」や「そらいろ」など。)

「ヴィンテージ」や「ROLL」のように短い特徴的なフレーズを繰り返すサビはすごく中毒性があるんだけども。「今宵、月が見えずとも」も然り。

この「ギフト」という曲も、メロディ自体はそこまでキャッチーだとは思わなかったけども、そこに晴一がぴったりな歌詞を載せたことで、その力強さが増したと思う。

この曲の主人公である「僕」は、自分の才能に自信が持てない、自己肯定感の低い人だと思います。
晴一の描く主人公は、自己肯定感が低いことが多いですよね。
自分に自信がなくて、「自分なんて」って思ってるような、そして周りの人が自分のことを蔑んだ目で見ているような気持ちに勝手になってることが多い気がします。
晴一自身にも言えることなのですが、割と自分の才能を過小評価しているところがあって、それは歌詞の中や、普段の発言からも読み取れるのですが、もう23年も続けてこれてるんだからもっと自信持ってくれよ、といつも思います(笑

そういう人物設定から晴一節が全開な楽曲だと思うのですが、特に2番ですかね、一番グッとくるのは。

どこかで僕を悪くいう声 耳を塞いでやりすごしてた
それでも聞こえる なんだ自分の声じゃないか

自分を低く見積もってるのは自分自身なんだよなという気づき。
このフレーズがこの曲の中で一番好きです。

一番のサビにある

意外と前に気づいてたかも 悩んでる自分に酔っていた

という歌詞と合わせて、うだうだして悩んでるフリして何もやらないのはカッコ悪いぞと言われているようで。
私自身、あまり悩むのは好きではなく。
悩むことって、まさに自分に酔うってことだと思ってるんですよ。
こんなことに悩んでる自分かっこいいみたいな。悩むことがある自分かっこいいみたいな。
そういうのはとても浅いなと思っていて、無駄な時間だと思っているんですね。
うだうだと悩むなら、現実的にどうすべきかとか、何ができるかとか、今何が問題なのかとか、次の一歩に繋がることを考えればいいと思うんですよ。

この曲を聴いたのはまだ19歳でしたけど、当時からそういう考えを持っていて、もちろん自分でも無駄に悩んでしまうこともありましたが、この曲のこの歌詞を聴いて、すごく心に刺さりましたし、自分で自分を止めるのはやめようと思いました。

夢に重さはないんだけれど 言い訳ばかりなすりつけて
やっかいなものを背負っている気になってる

ここも自分を止めてしまってるのは結局自分なんだよねという気づきですね。

「テーマソング」でも

「ただ自分らしくあれば それが何より大切」
などと思えてない私 何より厄介な存在

と言っていて、やはりことをややこしくしているのは自分自身だということに気づいてるんですね。
こうやって、周りのせいにするんじゃなくて、一旦自分の問題として考えてみるところが晴一らしいですね。

鳴り止まぬ歓声を浴びる人は遠い世界さ どうせ
どうせ自分なんかって思う その度にギフトが

成功した人と、何も成し遂げていない自分をわかりやすく比較していますね。
「どうせ」を繰り返しているのは何か意味があるのかな。

信じてみることが甘いかどうかなんてさ
自分の下で舐めてみなけりゃ がっつり噛みつかなきゃ分かんない

ここが2番目に好きです。
うまいこと言ったなぁと。

この後のCメロもかっこいいんですよね。ここはメロディも歌詞もかっこいい。

 月夜に浮かぶ街のシルエット 真っ黒な壁のようにそびえ

のところが特に。めっちゃハマってるし、フレーズ自体もかっこいいし。

ここに閉じこもってないで、自分から動き出すんだ!という決意が感じられますね。

この歌は元気な時に聞いてもまぁ普通なんですが、何か仕事で疲れた時とか、色々嫌なことがあった時とかに、ライブで生で聞いたりすると、心に刺さりまくるんですよね。もちろんいい意味で。
もしかしたらうっかり涙がちょちょぎれたこともあるかもしれません。

この曲以降、「RAINBOW」「君は100%」「キング&クイーン」など、わかりやすい応援歌をいくつか作っていますが、その原点となったのがこの「ギフト」じゃないかなと思います。
こういうストレートすぎるような応援歌って、本間さんが作曲を手がけていた時代にはなかったですからね。
応援歌らしいものといえば「Go Steady Go!」くらいでしょうか。

2人での楽曲制作に体制変更していくことによって生まれたポルノの新しいジャンルの1つが「ギフト」 だと思います。

ポルノの2人も、自分で動いていかなきゃいけないんだと思っていた時期かもしれません。
晴一はあまり自分の心情を歌詞に直接描くタイプではないですが、少なからずその時の心境も影響していたのではないかなと思います。

自分達だけでやっていこうと腹を括った時に、自分達の弱点とか、足りない部分にきっと気づいたと思うんですよ。
自分の持ってる箱はちっちゃくてみすぼらしいなと思ったかもしれません。

実際にそういう壁に自分達からぶつかっていったからこそ、今の骨太なポルノの音楽があるし、そして何より僕らの胸に突き刺さる楽曲になっているんだと思います。

ポルノの歴史の中でも、とても大きな意味を持つ1曲ではないでしょうか。

「ポストマン」

正直に言います。

リリースされた当時は「ポストマン」の方が好きでした(笑

今までに聞いた回数で言うと確実に「ポストマン」の方が行ってると思います。

こちらも軽快で、割と爽やかな曲なんですけどね、さすが本間さんとしか言いようがない。

そして歌詞もさすが晴一としか言いようがない。

郵便局員をテーマにこんな歌詞書けるんかと。
ウィキペディアによると最初のタイトルは「スタジアム」だったとか。内容も全く違ったらしいですけども、これは「プッシュプレイ」道あなスタジアムロック的な楽曲をイメージしたんでしょうかね。
確かにサビだけ聞くとそんな感じします。
でもその枠にはもう「プッシュプレイ」がいますからね。

それにBメロのちょっとワクワクする感じのメロディは、歌詞の通り、ポストマンが世界中を駆け回っている姿にぴったりだと思います。
実際の郵便局員は世界中を飛び回りませんけども。
そう言う世界中どこでも手紙が届く現在の輸送・通信網を一つのポストマンとして捉えているのかもしれませんね。

この曲の歌詞で好きな部分は、Bメロの2行目です。

送りたい気持ちだけ あの人の名を強く記せよ

いいですよね。

青いインク滲ませた キミの涙をそっと届けよう

ここがいい。
「青いインク滲ませた」っていう表現で、彼女が泣きながら手紙を書いたことを表現してるのがいい。
あと、晴一は青いインクが好きだなって思いました。「瞳の奥をのぞかせて」でも青いインク出てきますしね。

スフィンクス前ポストからシベリア3番街へ
天安門広場から世田谷通りまでも任せろ

この具体的な地名を出してくるのが「ワールド☆サタデーグラフティ」にも通ずるが晴一らしいユーモアでもあり、最後のサビへの振りにもなっているんですよね。

どこまでも行こう 君が望むのならば
朝一番 郵便受けを覗いてごらん
あの人の返事が届いているかもしれない

ちゃんと最後に希望を持たせて終わらせてくれるのがいいですね。

晴一は歌詞を書くときは必ずペンで手書きすると言いますから、書くことにはこだわりが強いんだと思います。
きっと手紙なんかも好きなのかもしれません。

手書きで言葉を綴ることを大事にしている晴一だからこそ思いついた歌詞かもしれませんね。

「ダイアリー 08/06/09」

5thシングル「サボテン」のカップリングに収録された「ダイアリー 00/08/26」の続編的な作品ですね。

「ダイアリー 00/08/26」が、デビュー1年目の気持ちを晴一、まさに日記のように綴った楽曲だったと言うことで、10年経った節目に改めて書いたのがこの「ダイアリー 08/06/09」です。今回の作詞は昭仁です。

1番と2番のAメロは、本当に昭仁が思っていたことなんじゃないかと思いますね。
10年経って、ポルノはとても大きなバンドになったわけですけども、やはりプロデューサーに導かれてここまできた部分も大きいわけで、「運が良かっただけ」と言う気持ちもわからないでもないです。

でも、本間さんもデビュー当時からポルノに対してはかなりレベルの高いものを求めていたと思いますし、それに必死に食らいついて、楽曲制作やライブをこなしてきたからこそ、今のポルノがあるのは間違いないです。
自分達のやりたいこととは必ずしも一致しないこともあったとはありますが、それも全部受け入れて、自分達の強みにしていったのは、紛れもなくポルノの実力であり個性であり魅力だと思います。
なかなかそんなバンドはいないですからね。
エクストリーム好きなギタリストが、クラシックギター持ってラテン調の楽曲をノリノリで弾くことなんてないですからね(笑

そう言う、普通のロックバンドがやらないことを普通にやってのけるところが、ポルノなりのロックなんだと僕は解釈しています。

迷いがちな僕のことを 受け止めてくれてサンキュー

確かに、迷いがちではあると思いますけど、それでもこれまでリリースしてきた楽曲や見せてくれたライブパフォーマンスという積み重ねられた信頼がありますし、毎回何かしらファンの予想を裏切ったことをやってくれるロック魂があるかぎり、ポルノを受け止め続けるんだろうなと思います。

この曲は、「ダイアリー 00/08/26」に比べれば影が薄い気もしますが、いつか大事な日に、2曲一緒にやってほしいですね。

おわりに

はい、ということで、14年前にリリースされたシングル「ギフト」を紹介しました。
結構最近のシングルくらいに思ってましたが、もう14年ですか。毎回言ってますが速すぎる。

次回は、「ギフト」の1年前、2007年にリリースされたあのアルバムを紹介します!



終盤に「ギフト」を始めとした応援歌が立て続けに披露されたのは驚きでした。