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46th single「カメレオン・レンズ」【ポルノグラフィティ全作レビュー#13】


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46th single「カメレオン・レンズ」【ポルノグラフィティ全作レビュー#13】

はじめに

こんばんバス!リンクです!

前回から少し時間があきましたね、13日ぶりの更新です!
激アツな3月ももう終盤、ですが、まだまだ紹介すべき作品が控えています。 今回紹介するのはこちらのシングルです!

「カメレオン・レンズ」作品情報

 

Title: カメレオン・レンズ
Release date: 2018/3/21
Price: ¥1,282(tax in)

Tracks:
1. カメレオン・レンズ
 作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一 編曲:篤志、Porno Graffitti 
2. 前夜
 作詞:岡野昭仁 作曲:岡野昭仁 編曲:tasuku、Porno Graffitti 
3. カゲボウシ(Live at NHKホール・2018/01/31)
 作詞:岡野昭仁 作曲:岡野昭仁 編曲:Porno Graffitti

オリコン週間ランキング初登場: 6位(最高位)
累計売上枚数:2.5万枚

作品概要

「カメレオン・レンズ」はテレビ朝日金曜ナイトドラマホリデイラブ」の主題歌。

全曲レビュー

「カメレオン・レンズ」

www.youtube.com

この曲が主題歌になっているドラマ「ホリデイラブ」、私は全話見ました。
個人的には中村倫也松本まりか出世作だと思っています。(世間的には違うかもしれませんが)
それくらいに二人のキャラが印象的で、もちろん主演の仲里依紗も良かったのですが、あの二人が夫婦役で周りをかき回してくれたからドラマ的にも盛り上がったんだと思います。
もう序盤から見ていられないような展開になって、夫婦関係も壊れていくのですが、そのドロドロした感じに、この「カメレオン・レンズ」がすごくあっていました。

正直にいうと、今までのドラマタイアップの中で一番良かったんじゃないかと思います。
ドラマも面白かったですし、曲も非常にマッチしていたし。こういうタイアップはファンとしても嬉しいですよね。

曲・アレンジについて

ドラマのタイアップにあたって、スタッフの方から「『渦』みたいな曲を」というオーダーがあったそうです。
普通ポルノにタイアップの楽曲をお願いするとき、普通は分かりやすくポルノらしい「サウダージ」みたいな曲を求められることが多いと思います。
晴一も実際にインタビューで

ミュージック・アワー」や「愛が呼ぶほうへ」「ハネウマライダー」「サウダージ」みたいな曲を引き合いに出されることが多い

と話していました。
それが「渦」のような曲をリクエストしてきたわけですから、「ホリデイラブ」のスタッフさんはだいぶポルノに詳しい人だったのかもしれません。
かつて「渦」が主題歌になったドラマ「スカイ・ハイ」と同じ枠のドラマですしね。
こういうリクエストがもらえるのはとても嬉しいことですよね。

曲調やアレンジなどあらゆる面で「渦」とは異なるのですが、ポルノらしいダークな部分、大人っぽいセクシーさが存分に出ているという意味では共通しているかもしれません。

この曲の好きなところは3つあります。

1つ目は、イントロのEDM感。
このイントロめっちゃかっこよくないですか。ここだけ何十回でも聴いていられます。
"UNFADED"で聞いたときは、照明の演出とも相まってめちゃくちゃカッコよかったです。
客席から真下に照明が落ちてて、あの光に照らされたいと思います。

2つ目は、サビのカウンターメロディー。 カウンターメロディーとは、サビの裏でなってるサビとは異なるメロディのことなんですが、これがすごく耳に付く。ポルノは結構そういう曲多いんですが、普通は晴一がギターで弾いてるんですよ。
でもこの曲はEDMがベースにあるので、それっぽい音(何の音色かわかりませんすみません)でずっと鳴ってるんです。間奏まで鳴ってます。めっちゃわかりやすく鳴ってるアレなのでみなさんも注意して聞いてみてください。

3つ目は間奏とアウトロのギター。
このフレーズの中毒性もすごいですね。
こういうキャッチーでクセになる間奏とかイントロって初期のポルノの醍醐味だったと思うんですよ。
「アポロ」にしても「ヒトリノ夜」にしても「ミュージック・アワー」にしても、シンプルだけど耳に残るイントロがすごく良い味出してたなと思うんです。
曲調こそ違いますが、この「カメレオン・レンズ」も同じような魅力があるなと思います。

EDMで四つ打ち、だけどちゃんとポルノらしいロックをやってる!というのがこの曲の魅力じゃないでしょうかね。

しかもサビで転調するという今どきなこともやってますし。
Skoop On Somebodyのお二人がコーラスに参加されていますが、「Non Non~」の部分が確かに良いフックになってますね。
ここから一気に世界が広がる感じがしますし、転調後のサビのメロディが映える感じがします。

この曲は曲自体がもっと評価されて良いと思います。

歌詞について

晴一らしい歌詞ですね。

「人は本当にわかり合えるのか」とか、「同じものを見ているようで本当は自分の見たいように見ている」的なことが曲のテーマになっているわけで。
これは「ホリデイラブ」の「不倫」というテーマにも通じるところがあります。
お互いを理解し、愛し合って結婚した夫婦が、不倫をきっかけにお互いのことを見つめ直す物語でした。
結婚したからといってお互いのことを本当にわかっているのか、二人とも同じものを見ているかと言われればそれはわかりませんよね。
子供も生まれればなおさらだと思います。
母親視点で見る自分の家族、父親目線で見る自分の家族、それはきっと全然違ったりするのかもしれません。
男性が女性を思う気持ちと、女性が男性を思う気持ちもきっと違いがあるはずで、その違いに気付いたり気付かなかったり、気付いているのに気付かないふりをしたりしながら、結婚生活を送っているんじゃないでしょうかね。
まぁ、私は独身ですし結婚願望もないのでよくわかりませんが。

「双子の月」や「月蝕の夜」など、晴一らしい月に関する言葉も登場する本作ですが、私が一番好きなのは何と言っても

デタラメな配色で作ったステンドグラス

ですね。
晴一お得意の、「独特な素材で作られたものシリーズ」の一つだと思っています。

このほかにも  

間違いだけで作る可憐なドレス

矛盾のランプ

などもありますが、何の曲かわかりますよね?
この二つに比べれば「デタラメな配色で作ったステンドグラス」はかなり現実味があってわかりやすい方だと思いますけども。
てかそもそもステンドグラスってある程度デタラメですよね?……え?

「前夜」

これは好きです。
これから大きな一歩を踏み出す人の背中を、優しく、そして力強く押してくれる曲ですね。

8分の6拍子のリズムが気持ち良く、一歩ずつ前に進んでいこうとする主人公の気持ちにぴったりだなと思います。

いくつか歌詞の好きな部分を紹介したいと思います。

いざ行こう ここから先は孤独だ 見えない明日に震えるけれど
自分で自分を背負う勇気を
闇雲にでも振り絞る 旅立ちの前夜

サビですね。
「ここから先は孤独だ」という表現がすごく的を射てますね。
これから一人で新しい生活を始めることに期待もあるんですが、その何倍も不安があって。
今まで一緒に過ごした友人や家族がもう近くにはいない、孤独な生活を始めることへの不安というのは良くわかります。
私自身も地元を離れる時、自分で決めた道ではあるものの、「ここから先は孤独」なんだなと思いました。
それは悪い意味ではなく、決意みたいなものなんですよね。
一人でやってやるんだ。それこそ「自分で自分を背負う」んだという気持ち。
この「自分で自分を背負う」というのも良いフレーズです。
昭仁も因島から大阪に出る時、大阪から東京に出る時、そんなふうに思ったんでしょうかね。
地元から出て、遠い東京の地でミュージシャンとして活躍している彼らが歌うからこそ説得力のある曲だと思います。

根拠なんてない自分への期待値はまさに暴落気味で

ここはすごくポルノだなぁと思いました。先ほどの孤独のくだりもそうですが、基本的に彼は自己肯定感が低い主人公を描くことが多いですからね。
自己肯定感が低い主人公に自信が芽生えて前へ進もうとするまでを描くことが非常に多いのですが、この曲もまさにそうだと思います。

しかし昭仁は昔何かのインタビューで「根拠のない自信があったからこそ無敵だった」みたいなことを言っていたと思うんですよ。
それは世間知らずとか、未熟という意味でもあったと思うんですが、だからこそ怖いものがないという、何でもできちゃうみたいなこともあると思うんです。
その発言を聞いてから、根拠のない自信というのも時には大切なんじゃないかと思うようになりました。
本人たちは、「田舎でバンドを組んで、チヤホヤされて、これはいけるんじゃない?みたいな勘違いのままここまできた」的なことも言っていましたが、ちょっとしたきっかけから20年以上メジャーで活躍するバンドに成長していったのですから、勘違いも時には必要ですよね。

冷たいベッドに重い身体 lay down

ベッドに倒れ込むのは「君は100%」以来7年半ぶりぐらいだと思います。
こに「lay down」の部分のロングトーンやばくないですか。
めちゃくちゃかっこいいですよね。 多分このシングルの中で一番かっこいい時間がここだと思います。
これをカラオケで再現するのは不可能です。
息が続いても、このかっこよさは真似できないですからね。
ライブで聴けたのは本当に嬉しかった。

今の僕には何にもないけど 何にもないから無限と言える

こういうのを逆転の発想ですよ。
逆転裁判成歩堂君も思わず異議あり!と叫ぶレベルです。
何にもないって普通に考えると0って意味だと思うんですけど、そうじゃなくて目の前にまだ真っ白なだだったぴろいどこまでも続くキャンバスが広がってるみたいな状態をイメージしたってことですよね。
この真っ白なキャンバスをどこへだって進めるし、何だって描ける。
どんなに大きな絵を描いたっていい。

まだ何も書いてないから今は0、だけど今から好きなだけ無限に描ける。
素敵すぎやしませんか。

羽ばたいていけると思い描く今この瞬間(とき)

いやそこは「前夜」じゃないんかい!と最初に聞いた時はつっこみましたが、もう世が明けたということですね。
希望が持てる終わり方でとてもいいと思います。

「カゲボウシ(Live at NHKホール・2018/01/31)」

「カゲボウシ」が好きな方にはたまらないやつじゃないですか。
昭仁のソロでの弾き語りがCD音源になるのはこれが初めてですし、今のところこれだけなのでとても貴重ですね。
このライブの時にMCで話していたのが、Perfumeポリリズムを歌っているのを見たスガシカオさんにポリリズムはそんな風に青筋立てて歌っちゃダメだよみたいなことを言われたという内容でした。
それ以来、曲に合った歌い方ができるようにボイトレなどをしたといいていましたね。
いや、それまでボイトレなしでその歌唱力やったんかいと、会場の全員が思ったでしょうが、それが岡野昭仁というモンスターですよ。
確かにこの頃から、こういう優しい声がで歌えるようになったなぁと思います。
自身の声の持ち味は失わず、きちんと表現の幅を広げられているといいますかね。
ストレートに届くんだけど、突き刺さる感じななくて安心させてくれるような、そんな歌が歌えるようになったんじゃないかなと思います。
まぁ、最後のサビのとこはめっちゃ突き刺さってますけどね(笑

岡野昭仁というボーカリストはいつまで進化を続けるつもりなんでしょうか。
楽しみすぎて夜しか眠れません。

全然関係ないですが、最後の「夢はもうぐそこだよ」の「よー」が好きな人はきっと「音のない森」の「陽のあたる場所へ」の「へー」も好きな人だと思っています。

おわりに

「カメレオン・レンズ」のリリースからもう4年も経つのですね。割と最新シングルだと思ってました。

「カメレオン・レンズ」はもっと評価されていいシングルだと思いますね。
今のポルノの魅力をぎっしり詰め込んだ1枚になっています。

5年以内にリリースされたしぐるでおすすめ教えて!と言われたら「カメレオン・レンズ」一択じゃないですかね。「Zombies are standing out」も迷いますが。
(「THE DAY」も入れたいところですが、もう6年前の作品であることに絶望しています。)
ここからファンになる人が出てもおかしくないレベルだと思うのですよ。

ということで、まだこのシングル買ってない人はぜひ、買ってください!

次回はあのアルバムを紹介します!
今回も読んでいただきありがとうございました!



「カメレオン・レンズ」と「前夜」が収録されているのはこちら!